初めて一人暮らしをする人「木造アパートは音が響くと聞いて不安。鉄骨やRCなら静かなの?家賃も違うし、何を基準に選べばいいのか分かりません」
こうした悩みに答えます。
この記事で分かること
- 木造・鉄骨・RCの違い
- 構造名だけで静かさを決められない理由
- 内見で確認したい音のポイント
- 不動産会社へ聞く質問
- 音に敏感な人が優先したい条件
この記事を書いている人
この記事は、宅建資格を持つ「賃貸の答え合わせ編集部」が、国土交通省の住宅性能表示制度に関する資料と、Yahoo!知恵袋に投稿された実際の悩みを確認して作成しています。
知恵袋では、「初めての一人暮らしで鉄骨と鉄筋の違いが分からない」「新しい木造と古いRCのどちらにするか迷う」といった相談が繰り返し投稿されています。
ただし、知恵袋の回答は個人の体験談です。「木造は全部うるさい」「RCなら絶対静か」といった言い切りは、そのまま事実として扱いません。
先に結論:構造は目安。でも構造だけでは決めない
音をできるだけ避けたいなら、木造・鉄骨・RCという構造は確認した方がいいです。
ただし、構造名だけを見て契約するのは早いです。
部屋で聞こえる音は、床や壁のつくり、窓、部屋の位置、共用階段、道路、そして周囲に住む人の生活によって変わります。
「じゃあ、結局は住んでみないと分からないの?」
完全に見抜くのは難しいです。でも、契約前に確認できることはあります。この記事では、その確認方法を一つずつ説明します。
ずっと静かな部屋を、契約前に見抜くのは難しい
内見で静かでも、その状態がずっと続くとは限りません。
賃貸では入居者が入れ替わります。契約した時点では隣が空室だったり、静かな人が住んでいたりしても、あとから生活時間の違う人や、音の大きい人が入居する可能性があります。
「そこまで考えたら、どの部屋も選べなくなりそうです」
そうなんです。将来の入居者まで予測することはできません。内見や資料で確認できることは確認したうえで、最後はある程度割り切る必要があります。
そのうえで、私自身が住んだ経験では、木造や鉄骨の部屋は隣の生活音が気になることがありました。RCの部屋では、そうした心配は比較的少なかったです。
これは、すべての木造・鉄骨・RCに当てはまる話ではありません。壁や床のつくり、間取り、周囲の住人によって変わります。それでも、騒音への不安が強く、家賃などの条件も許すなら、私はRCを優先して探します。
木造・鉄骨・RCって何が違うの?
まず、物件情報に書かれている言葉を簡単に整理します。
木造とは
建物を支える柱や梁に、主に木を使った建物です。
アパートでよく見かけます。家賃や立地などの条件が合いやすい一方、静かさは壁・床の材料や間取りによって差があります。
鉄骨造とは
建物の骨組みに鉄骨を使った建物です。「軽量鉄骨」「重量鉄骨」と書かれている場合もあります。
ここで注意したいのは、骨組みが鉄だから、壁や床も厚くて静かとは限らないことです。物件情報の「鉄骨」という文字だけでは、隣の話し声や上の足音がどれくらい聞こえるかまでは分かりません。
RC造とは
RCは「鉄筋コンクリート」の略です。鉄筋とコンクリートを組み合わせた建物を指します。
音が気になる人の候補に挙がりやすい構造ですが、RCという表示だけで無音になるわけではありません。床や隣との壁、窓なども確認します。
SRC造とは
SRCは「鉄骨鉄筋コンクリート」の略です。鉄骨、鉄筋、コンクリートを組み合わせた構造です。
高い建物などで見かけますが、こちらも構造名だけで室内の静かさを保証するものではありません。
「音」は全部同じではない
騒音が不安なら、まず「どの音が嫌なのか」を考えてみてください。
国土交通省の住宅性能表示制度では、住まいの音を次のように分けて評価しています。
- 上からの重い音:足音、子どもが走る音、物を落とした音
- 上からの軽い音:椅子を引く音、小物を落とした音
- 隣からの音:話し声、テレビ、音楽
- 外からの音:車、電車、人の声
対策する場所がそれぞれ違います。上の足音なら床、隣の話し声なら部屋の間の壁、道路の音なら窓の影響が大きくなります。
「RCを選べば、全部の音に強いと思っていました」
そう考えやすいですよね。でも、建物の構造と、実際に気になる音は分けて考えた方が選びやすくなります。
音に敏感なら、まず部屋の位置を見る
初めての部屋探しでは設備に目が行きますが、音が気になるなら部屋の位置も大切です。
上の足音が不安なら最上階
上に住戸がなければ、上階からの足音はありません。
ただし、最上階は家賃、暑さ、エレベーター停止時の移動など、別の条件も確認してください。
隣の音が不安なら角部屋
角部屋は、隣の住戸と接する面を減らせる場合があります。
ただし、隣がない側に道路、駐車場、階段があれば、そちらの音が気になることもあります。「角部屋だから静か」と決めず、窓の外と共用部分まで見ます。
エレベーター・階段・ゴミ置き場の近くを確認
人が通る場所では、足音、話し声、扉の開閉音が出ます。
部屋の玄関を出て、エレベーター、階段、共用玄関、駐車場、ゴミ置き場との距離を確認しましょう。
間取り図で「隣と接する場所」を見る
間取り図を見て、自分の寝る場所の隣に何があるか確認します。
- 隣の部屋と寝室同士が接していないか
- 寝る場所の隣が共用階段やエレベーターではないか
- 隣との間に収納や水回りが入っているか
- ベッドを隣との壁から離して置けるか
隣との間に収納などを挟める間取りなら、生活スペースを壁から離しやすくなります。
もちろん、間取りだけで防音性能は分かりません。それでも、寝る位置と音が出やすい場所を離せるかは判断できます。
内見では何を確認すればいい?
内見とは、契約前に実際の部屋を見ることです。
音を確認するときは、部屋の真ん中に立つだけで終わらせないでください。
1.窓を閉めて、しばらく黙る
エアコンや換気扇を一度止められるなら、不動産会社へ確認したうえで止めます。窓を閉め、30秒ほど話さずに音を聞いてください。
車、電車、学校、工場、共用廊下など、どこから音が来るかを確認します。
2.窓を開けたときとの差を聞く
窓を閉めたときに外の音がどれくらい小さくなるかを比べます。
外の音が気になる物件では、構造名だけでなく窓の影響も無視できません。
3.共用部分を歩く
部屋までの廊下や階段を歩き、足音や扉の音を確認します。
玄関前を人が通ったときの音が気になりそうなら、部屋と共用動線の位置も見てください。
4.できれば時間帯を変える
昼は静かでも、夕方以降に人や車が増える場所があります。
同じ部屋を何度も内見できない場合は、契約前に建物の周辺だけでも別の時間帯に歩くと、昼間とは違う様子が分かります。敷地や建物内へ無断で入らず、公道から確認してください。
5.壁をたたくだけで判断しない
壁をたたいた音だけで、隣の声が聞こえるかどうかを正確に判断するのは難しいです。
ネットで見かける簡単な判定方法だけに頼らず、構造、部屋の位置、周辺環境、不動産会社への質問を組み合わせます。
6.共用部の張り紙を見る
エントランス、掲示板、エレベーターの中にある張り紙も確認してください。
- 夜間の騒音
- 足音や楽器の音
- ゴミ出しのルール違反
- 共用部での喫煙
- 自転車や私物の置き方
張り紙が一枚あるだけで、問題の多い物件とは決められません。管理会社がきちんと注意している可能性もあります。
ただし、同じ内容の注意書きが何枚もある、日付を変えて繰り返し掲示されている、強い言葉で警告されている場合は、問題が続いていないか不動産会社へ確認しましょう。
「張り紙がある物件は、やめた方がいい?」
すぐに候補から外す必要はありません。何について、いつから、どのくらい注意が続いているのかを見る材料にします。
7.廊下とゴミ置き場を見る
共用廊下に荷物、傘、自転車、段ボールなどが散らばっていないかも見てください。
ゴミ置き場では、分別されているか、収集日と関係なくゴミがあふれていないか、強い臭いが残っていないかを確認します。
共用部が荒れていれば、住んでいる人のルールの守り方や、建物の管理状態に不安が残ります。ただし、引っ越し直後や収集前など一時的な状態もあるため、一度見ただけで住民全体を決めつけないことも大切です。
気になった場合は、「共用部の清掃はどのくらいの頻度ですか」「ゴミ出しや騒音の相談は管理会社が対応しますか」と聞いてみましょう。
不動産会社には何と聞けばいい?
「防音性はどうですか?」と聞けばいいですか?
それだけだと、「しっかりした建物ですよ」といった曖昧な答えになりやすいです。質問を小さく分けましょう。
- 上の階や隣からの騒音について、管理会社へ相談が入ったことはありますか
- 隣の部屋との壁や床について、確認できる資料はありますか
- 住宅性能評価書はありますか
- 窓は一重ですか、二重サッシなど音を抑える仕様ですか
- この部屋は、階段やエレベーターのどこにありますか
- 工事や店舗など、音に関係する予定はありますか
答えが分からない場合は、それ自体が悪いわけではありません。「確認してもらえますか」と一度持ち帰ってもらえば大丈夫です。
近隣住民の氏名や詳しい生活状況など、個人情報に関わる質問には答えてもらえません。聞くのは住民個人の情報ではなく、建物や管理状況についてです。
住宅性能評価書があれば、どこを見る?
住宅性能評価書とは、住宅の性能を共通の基準で評価した書類です。すべての賃貸物件にあるわけではありません。
音に関する表示がある場合は、次の項目を確認できます。
- 重い足音などへの対策
- 軽い物音への対策
- 隣との壁を通る音への対策
- 窓から入る外の音への対策
難しい名称や数字は、その場で覚えなくて大丈夫です。不動産会社へ「音に関する評価があるか」「数字が高い方なのか」を確認しましょう。
なお、国土交通省も、設計上の評価と実際に部屋で聞こえる音は必ずしも一致しないと説明しています。評価書があっても、内見は省略しません。
結局、木造は候補から外した方がいい?
音が最優先で、少しの生活音でも眠れなくなる人なら、候補を絞るために構造条件を厳しくする判断はあります。
一方で、木造という理由だけで、立地、家賃、日当たり、最上階、角部屋など他の条件が合う物件をすべて外す必要があるとも言い切れません。
大切なのは、自分の優先順位です。
- 多少家賃が上がっても音を避けたい
- 上の足音だけは避けたい
- 在宅勤務なので昼間の静かさも重要
- 夜勤があり、昼に眠る必要がある
- 音より駅までの距離や家賃を優先したい
同じ物件でも、合う人と合わない人がいます。
音が不安な人の部屋選びチェックリスト
内見前に、次の項目をスマホへ保存しておきましょう。
- 建物の構造を確認した
- 最上階・角部屋か確認した
- 寝室と隣戸・共用部分の位置を確認した
- 窓を閉めて外の音を聞いた
- 共用廊下と階段を歩いた
- 掲示板やエレベーターの張り紙を確認した
- 廊下の私物とゴミ置き場を確認した
- 管理会社への騒音相談について質問した
- 別の時間帯にも周辺を確認した
- 分からない点を契約前に持ち帰った
全部を満たす物件が見つかるとは限りません。「絶対に譲れないもの」と「できれば欲しいもの」に分けると選びやすくなります。
まとめ:構造名で決めず、気になる音から逆算する
初めて一人暮らしをするなら、木造・鉄骨・RCの違いが分からなくても当然です。
まずは、次の順番で確認してください。
- 自分が嫌な音を考える
- 建物の構造を確認する
- 最上階・角部屋・共用部分との位置を見る
- 内見で窓を閉めて音を聞く
- 不動産会社へ具体的に質問する
RCという言葉だけで安心せず、木造という言葉だけで即決して外さない。構造は最初の目安として使い、最後はその部屋を確認して決めます。
申し込みたい部屋が決まったら、次は契約条件の確認です。初めて契約書を見る人は、賃貸契約書で最低限確認したい7項目から進めてください。
参考資料・相談例
- 国土交通省「住まいの音環境の見える化―住宅性能表示制度と遮音対策」
- 国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」
- Yahoo!知恵袋「初めてのひとり暮らしで鉄骨と鉄筋に迷っている相談」
- Yahoo!知恵袋「築浅木造と築古RCの選び方に関する相談」
- Yahoo!知恵袋「鉄骨と鉄筋の防音性に関する相談」
この記事は一般的な部屋選びの考え方を整理したものです。実際の遮音性や聞こえ方は物件、住戸、周辺環境、住む人によって異なります。
